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コラム / IT化経営羅針盤
IT化経営羅針盤59 「データ分析」その前に
2020.06.29
当社はデータ分析の専門家ではありませんが、デジタル化推進の文脈の中で「データの分析によるXXXの改善」というご相談を受けることがあります。例えば、「製造不良のデータ分析による品質改善」といったところが製造系の会社さんからは多く聞こえてくるお話です。メーカーであれば当然の要求ではありますが、現状のままではうまくいかないケースも多々。それは、「分析に必要なパラメータをきちんと把握・蓄積していない」場合が多いからです。このような会社の経営者さんからは、だいたい二通りの言葉が聞こえてきます。以下の様な2例です。
例1:なぜ歩留まりが低迷しているのか、その原因がよくわかっていないからデジタル化により分析できるようにしたいのだ
例2:経験的ではあるが不良が発生する理由はXXXとXXXだとわかっているから、デジタル化によって対策を打ちたいのだ
当たり前ですが、不良が発生する理由、歩留まりが低い理由をその製品と製造プロセスによって分析しなければ品質改善活動などはできません。従って、例1の会社については、デジタル化とかデータ分析以前に、まず不良の発生原因を説明するための要因、を明確化する仕事が存在しています。経営者さんは当然それを理解しているのですが、実に様々な理由でそれをとらえきれていないジレンマを持っている場合が多くあります。例えば、「そのような分析をきちんとしたいのだが、担当者の工数を確保できず、日々の仕事に追われている」とか「担当者が論理的に分析する、という考え方やスキルを持っておらず、どうしても決められた仕事だけを回す傾向にある」といったところでしょう。どれも切実です。このような会社の場合は、困っているだけでは何も進まないので、まずは「担当者の工数を空ける」ことを目的とした社内合理化活動を展開する必要があり、経営者さんには「遠回り」な改善計画を提案するしかありません。つまり、
合理化目的のデジタル化->工数確保->品質分析活動の展開->データ化計画->デジタル化推進
といったプロセスによる中期的な活動を提案する、ということになります。
一方、例2の会社の場合は、データによる改善活動は容易だろう、と想像されると思いますが、実際にはあまり簡単ではないケースが多くあります。例えば、「温度管理がまずいと不良率が上がる」とか「担当者によって装置の設定値の癖があり、それによって不良率が上下する」といった経験的な知見にとどまっているケースです。この場合、分析したいデータがそろっていないので、まずそれを収集して蓄積するところからスタートするしかありません。従って、
収集・蓄積すべきデータの定義->データ収集手段検討->デジタル化推進->分析トライアル
といったプロセスで活動を展開することになるわけです。
これら2例について、経営者さんに進め方を提案すると、大抵の場合「そんなに息の長い活動は中小企業には無理だ」と判断される場合が多く、かなり簡単に断念されてしまうことがあります。非常に残念です。でも、無理だと判断された場合、次に何をするのでしょうか?またずっと悶々と悩む日々を続けるのでしょうか?
デジタル化推進による企業の成長は、論路的に整合性のとれた活動計画とプロセス推進でしか達成しえません。「何かの最新鋭のツールを入れたら大成功するのだ」などということは幻想に過ぎず、現実にそんな甘くはありません。このように「その進め方は中小企業には荷が重すぎる」という後ろ向きな判断は、日本の中小企業がうまくデジタル化推進できてこなかった理由の一つだと考えています。
中小企業の身の丈にあったデジタル化推進プロセス。これをきちんとたて、強い意志を持って推進することこそ、Withコロナ時代のデジタル化だと思いますが、皆様はどのようにお考えになりますか?
今回は少しきつい表現で書きましたが、是非ご一考いただき、必要なアクションをとっていただければと思います。
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