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IT化経営羅針盤53 業務システム構築はなぜ予算オーバーする?中小企業が陥りやすい落とし穴(1)

2020.05.19

中小企業が陥りやすい落とし穴(1)

中小企業にとってのシステム化は、特に社内業務システムが中心となることが多いわけですが、「システムを導入すれば効率化する・帳票が減る」と誤解されている経営者さんが実に多くいらっしゃいます。社員が少ない企業に特にその傾向が強いのですが、要するに「できあいのパッケージシステムを導入すれば、そのテンプレートに従って作業するだけなので、効率化するはずだ。」という思い込みが原因です。
その「思い込み」の中にもいくつか要因がありますので、何回かに分けて解説していきたいと思いますが、今回はその一つ目。「機能が豊富なことへの過度な期待」です。
今回ご相談に来られた建機メーカーは、小さいながらもニッチな機能を持つ機械を製造販売しており、大手との差別化に成功しています。しかし、昨今の人不足の状況には悩まれており、業務の効率化や自動化が必須課題でした。そこで、「受注生産型の製造会社」に強いというふれこみのパッケージソフトウェアを導入することとし、1年弱で事実導入するころができました。システムの立ち上げと、データの移行についてエンジニアのきめ細かいバックアップのおかげもあってスムーズに事が進みました。そして切り替え日も普通に迎えることができ、晴れて新システムに移行した訳ですが、期待していた通りの業務効率化ができないばかりか、運用に余計な手間をとられてしまうばかりで、残業がむしろ増えてしまいました。当初は「習熟の問題」と考えていましたが、その状況が1ヶ月、2ヶ月たっても改善できず、改善の動きさえとれない事態となり、システム導入のプロジェクトは失敗と思えるようになっていました。
そこで現場の中に入ってシステムの使われ方を分析してみたところ、以下の様なことがわかりました。

  • 機能が非常に豊富なのだが、それぞれが細分化されており、ざっくり動かすことができない
  • 豊富な機能を全部使うことが前提なので、自社で使っていない機能のためのデータを入力しなければならない
  • その作業が大変なので、何をどうすれば改善できるのか検討する余裕が無い

つまり、機能を使い切れていないだけではなく、ソフトウェアを動かす為に人間が働いている、という非常によろしくない状況です。
これはこの企業さんだけに言えることではなく、実に多くの中小企業さんがこのような状態に陥っています。その理由は非常に簡単で、

機能が豊富=自社に最適化できるはずだ

と思い込んでしまったことにあります。パッケージソフトを販売している会社さんにとって、提案する際には「あれもこれもできる。その証拠は・・・」という枕詞で要求に対する回答をするわけですが、(言い方が悪いですが)それを鵜呑みにしている・全部「簡単にできる」ものと誤解しているのです。かといって、機能が不足しているソフトウェアは導入できませんし、導入するとしてもカスタマイズで機能を追加しなければならないことも事実です。ここで問題としているのは「自社にとっては過剰に多い機能を持っている場合、その運用が本当にできるのか事前に十分な検証が必要である」ということです。言い方を変えれば、「電卓が必要だったのにPCを買ってしまったので社員が使い切れない」という例えができるかもしれません。ソフトウェアの場合、とにかく開発する側は「機能を増やす」方向に行きがちで、歴史が長いソフトであればあるほどその傾向が強く表れます。中には「ソフトウェア商品を顧客業態別に再分類し、それぞれに適した機能群に絞り込んでシリーズ化する」という売り方をされているケースもありますが、どちらかと言えば少数派でしょう。

この建機メーカーさんは現在もソフトウェアの改修作業が継続していますが、その投資金額は当初の予算の二倍を超える規模になりそうです。「機能を使えなくする改修」の為に費用が発生する、というのは実に皮肉なことですね。

何事にも、「自社の身の丈にあったもの」が最適であることには変わり有りません。機能が豊富なことが自社にとって本当に良いことなのか、その選定眼が問われるわけです。

もういくつか「予算オーバー」の原因と言える事象がありますので、次回も引き続き解説させていただこうと思います。

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