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IT化経営羅針盤39 経営改革チームのリーダーに求められる資質とは?

2020.01.06

経営改革をチームで進める場合、そこには社内のあちこちから数名のキーマンを選出して組織化することが多くあります。当然、その中にはリーダー役を選定しないと何も進みませんので、リーダーシップの高い人を任命します。普通、何かの具体的な課題があってそれの対策をするための会議や活動であれば、そのリーダーのもと、かなりスムーズに議論や検討が進み、活動が終了できる確率も高いと思います。ところが、「経営改革をするのだ」という言わば漠然としたお題を与えると、その途端にどうしたら良いのかわからなくなり、議論が発散方向になります。これは私の経験ではほぼ100%そうなります。なぜならば、リーダーが「自ら課題や問題を定義し、それをチームで共有して磨き上げる」ところから活動を開始しなければならず、普通の人はそんな経験をしたことが無いからです。それ故に、チームの中の議論はバラバラ、あっちこっちの方向の話題に振り回され、小さな課題の話に集中してしまい、「こんな話をする場じゃない」と気がついてまた振り出しに戻る、といった堂々巡りが発生するのです。
それでは、どうすれば活発な活動に向けてリードできるリーダーを得ることができるのでしょうか?どんな組織にも、それに適した「ダイヤの原石」の様な人はいるものです。その資質とは、なんでしょうか?私の答えは

「絵を書ける人」

です。「えっ?」と言われそうですね。普通、話上手の人をリーダーに据える、というのが常套手段だと思われるかもしれませんが、課題もゴールも漠然としていることを検討するチームを引っ張る人には「絵心」が必要なのです。これを、会議コンサルの方は「ファシリテーショングラフィクス」と命名している様ですが、私はあまり横文字が好きではないので、「絵心」と呼ぶようにしています。その絵心がリーダーに求められる資質である理由は非常に単純です。

会社の現在の状況とあるべき姿を文章や数字ではなく絵で描くことができれば、チームのベクトルが完全一致できるから

です。経営課題を具体的に見える形にするには、以前からお伝えしている業務プロセス管理図を描くことも手段として有効ですが、会社がどうあるべきなのか、そしてそれが現在とどうギャップがあるのか、イメージを明確化するのは、業務プロセス管理図に着手する前に片付けるべきタスクです。経営者が語ること、それに対して現場の担当者が語ることを一枚の絵に描くことができれば、それはチームの共同作業による成果物であり、それが完成した瞬間に素晴らしい経営改革チームが出来上がるのです。ここまでくれば、このチームは強力に活動を推進できる体制になっているはずです。なお、ここで言う「絵心」とは、きれいに書ける美術的能力ではありません。あくまでも「発言者の言っていることを文字ではなく、ホワイトボードになぐり書きでもいいからイメージを描くことができる能力」です。そして発言者がそれを指差して「そう!」と言わせることができれば資質としては十分です。美術的に絵がうまいに越したことはありませんが、単純な記号を書くだけでも十分伝わります。何度となく経験がありますが、普通あまり絵を書きたがらない人でも、無理にお願いして上記の様な絵かき役になってもらうと、意外と上手だったりします。どのような規模の会社に行っても、たいていの場合はそのような人を発見することができるので、感覚的には「従業員の数割」の比率でそのような絵心を持っている人が見つかると思います。

御社でもこのような絵心のある従業員を探してみてはどうでしょうか?そのような人に常日頃から経営課題や考え方・方針を語ることで、経営改革チームのリーダーに育てることができると思います。決して口達者な人だけをリーダーと思わない様にしていただければ、きっと御社の成長に貢献できるチームを構築しやすくなります。是非お試しください。

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