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コラム / IT化経営羅針盤
IT化経営羅針盤233 ひとり情シス 社内で居場所をなくさない方法
2024.12.17
社員の少ない中小企業で、デジタル化要員を専任化することはもともと難しいもの。しかし、その延長上には「兼任情シス・ひとり情シス」の状態が待っています。ここでは、兼任・専任問わず、一人に会社のデジタル化が任されてしまった場合のことを「ひとり情シス」と呼ぶこととしますが、そのような方にはある一定の確率で「社内で軽く見られる」という悩みが発生することをしばしば目撃しています。
例えば、「何かトラブルが発生し、経営陣から社内キーマンまで全部集まって相談しているのに、一人情シス社員は事務担当者ともどもかやの外」ということはよく見かけます。また、もう少し規模の大きい会社だと、部門それぞれにミッションや目標を与えられ、それを実現するように管理されたりしますが、ひとり情シスには目標の設定も無い。強いて言えば、「パソコン停止ゼロ件」といった、会社の業績に影響するとは思えない「しょぼい目標」が設定されたりすることもあります。
こうなってしまうと、当の本人からすれば「私はパソコン屋なの?」などと、どうしても卑屈になってしまい、社内での居場所を感じられなくなったり、モチベーションの維持が難しい状況になってしまい、転職への思考に切り替わってしまうことも。
これらについて私は、ひとり情シスの本人たちには責任が無い、とは思っていますが、本人次第で状況をひっくり返すことも可能だと考えています。いくつかの方法がありますが、その中で一番やるべきことが、
情シスミッションの再定義
です。組織であればどの社員にもどの組織にもミッションが与えられているべきなのですが、ひとり情シス状態になっている会社の場合、それが設定されていないことが非常に多いのです。それが故に、目先の仕事として社員のパソコンの面倒を見る仕事が主業務になってしまったり、操作の方法が解らないときに教えを請う先生になってしまったり…。不思議なもので、そればかりやっていると、自分はその専門家である、という自負まで生まれてしまい、そこに意識が定着してしまいます。そんな状態になってしまうと、社内からは「とても便利な人・いざと言うとき頼りになる人」という評価はもらえますが、「重要な人・重要な仕事」とは思ってくれません。もちろん経営層からもそのような評価で固定してしまい、それ以外の仕事がなかなか来なくなってしまいます。そこまで到達してしまうと、ある日突然「私ってこのままでいいのかな?」というキャリア面での悩みにもつながり、個人にも組織にも好ましい状態ではありません。そういった、ひとり情シスの方に送る処方箋が、ミッションの再定義なのです。
でも、「それは言うは易しで具体的にはどうすれば良いのか?」という疑問になりますよね。「情シスの仕事を、会社にとって無くてはならない存在にする」ためのミッションの定義はどうすれば良いのか?本当なら、「社長と話しをしてミッションをきちんと定義して…」とお話するべきなのでしょうけど、これはとても労力と時間がかかり、簡単なものではありません。しかし、一つだけどの会社でも共通のことを言います。それは「セキュリティの確保」です。
セキュリティについては、どの会社でも共通のことですし、経営層がきちんと理解すれば、身の丈や業種業態にあわせてセキュリティ対策をきちんとやってゆくことが社会的な責務であることを主張できます。まずはそこから情シスの位置づけを高め、会社に無くてはならない存在にすることが近道でしょう。社長とミッションの話をするのは、それからでも遅くは無いと思います。 ここで、一つだけ注意があります。それは、「情シスをアップデートする方向で話しをすること」です。無造作に話しを進めると、今度は一人情シスが一人セキュリティになってしまい、ただでさえ社内からの問い合わせで忙しいのに、単純にセキュリティの仕事が上乗せされるだけになりかねません。きちんと「PC管理のような工数仕事は外注に任せる。それによって空いた工数で社員がセキュリティ対策に取り組む」といった社内情シスの仕事をアップデートする方向で進める必要があります。これに失敗しないように、経営層に働きかけるべきですし、経営層の方もそのメリハリを意識して情シスミッションを一緒に考えてあげて欲しいと願います。
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