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IT化経営羅針盤220 ITベンダー側のコミュニケーション力の良し悪しは大問題だ

2024.07.23

本コラムでは、基本的にシステム導入者側の視点に立った話題しか展開していませんが、今回の話題を読んでいただくにあたり、もう一度念のため言っておきます。以下は、完全に導入者側視点でしか書いていません。読み手によっては、「そんな身勝手な…」と思われるかもしれませんが、これは私の経験に由来する解釈で、導入者側にとっては曲げようもない事実です。ITベンダー側の立場から見ると異なった解釈が成り立つかもしれませんので、そこはご容赦ください。

しつこい前置きはこれぐらいにしておきます。このコラムでも、上梓した書籍「会社を正しくデジタル化する方法」でも主張していることですので、「耳タコ」かもしれませんが、何かのソフトウェアの導入を決め、その導入プロジェクトがスタートした後、いやと言うほどITベンダーとのやり取りが発生します。当然、その期間に「やりたいこと・実現したいこと」を漏れなく伝え、ITベンダーにすべてを理解してもらわないといけないわけですが、この点が実は「言うは易し」で、非常に難しいものになります。

なぜなら、「ITベンダーは業界のことは理解しているかもしれないが、自社のことについては当然素人」だからです。自社の属する業界の他社システムを構築した経験が豊富であっても、自社については素人です。従って、同じ日本語をしゃべっていても、単語の意味が違ったり、誤解をしてしまうことが多々発生します。さらにタチの悪いことに、同じ業界の経験を持っていますので、単語や専門用語の使い方については、あまり不自然さを感じさせないことが多いものです。これにより、単語の意味が微妙に違っていることをなかなか検出できないなど、実に様々なすれ違いが発生します。時にはその「誤解やすれ違い」が、極端に多くなってしまい、誤解に気が付いた時に「今までいったい何を話してきたのか?」という絶望感に襲われる事態に陥ることすらあります。

そうなってしまった時の解決策は多岐にわたるケースバイケースなので、この紙面の中で説明しきることはできません。また、コトが人間対人間のコミュニケーションの話なので、絶対にそのような状態に陥らないようにする魔法の様なノウハウもありません。しかし、一つだけ皆さんのヒントになりそうなことは言えます。それは・・・

ITベンダーのプロジェクトマネージャーは技術者もしくは技術者上がりであるという特性を良く理解し、それに適したコミュニケーションに努めること

です。こう書くとよく「技術者と話をするためには専門知識が必要だ」という誤解を持たれてしまいがちです。確かに専門知識は持っているに越したことはありませんが、ポイントはそこではありません。相手は技術者ですので、あくまでも理詰めで会話をするようにするべきだ、ということにあります。例えば、、、

数字の話では数字の話を

事実に対しては事実で話を

というコミュニケーションです。相手が数字で説明してきたら数字で返す。多いとか少ないという主観的な表現は避ける、ということです。理論的に破綻していない事実を用いて会話を進めることに留意する、という意味です。基本的には理詰めで話をし、その結果で合意できたことだけが正しく実行されるものだ、と思った方が良いのです。

「なんだ、そんなことか」とお叱りを受けるかもしれませんが、話をしなければならないことが膨大になってきたり、会話の窓口が複数人になってしまったりすると、とかくこの原則に反することが起きてしまいがちです。いえ、起きない方が珍しい、と言っても過言は無いでしょう。また、当事者は話にのめりこんでいるものなので、主観的な会話をしてしまっていることに自分では気が付きにくいものです。このよろしくないコミュニケーションの状態を放置すると、それが雪だるまの様に膨らんで、最終的には手戻りが非常に大きな誤解の塊になって顕在化してしまうこともあります。

このようなミスコミュニケーションの状態が発生していることを発見できるのは、たいていの場合一歩下がってプロジェクトを見守っているプロジェクト責任者や社長・経営層です。このような方々は、比較的経験値が高い人たちですので、ミスコミュニケーションが発生していることを感覚的に知覚することに長けています。好都合なことに、そのような立場の人であればミスコミュニケーション状態の修正や、間違った方向に進んでいる様であればその修正も直接指示できる立場の方なので適任です。したがって、逆に言えばそのような立場の方々は、ITベンダーとのコミュニケーションが適切に行われているか見守る役割を積極的に引き受けることが肝要なのです。

なお、稀に・・・ですが、ITベンダーのプロジェクトマネージャーが理詰めの話ができないことがあります。それは態度に出るので比較的簡単に発見できます。例えば、依頼に対して理由説明無く「難しい」と断ってきたり、「やってみないとわからない」といった勘と経験だけで回答してくるなどです。これらの言動は、プロジェクトマネジメントの基礎に反するものですので、システム導入といった理詰めで進めるべきプロジェクトとは相いれません。残念ながらこのようなプロジェクトマネージャーがITベンダーに多少含まれていることは経験上の事実なので、導入者側としてはこのような人材がITベンダーからプロジェクトマネージャーとして任命されてこないように注意するべきです。 まとめですが、こういった「人と人とのコミュニケーション」の領域の不具合については、経験によってのみ気が付くものです。明らかに、人生経験が豊かな人の方が気が付きやすいものなので、会社の中でも社長など百戦錬磨の経営層がフォローするのが得策だと思います。その意味も込めて、「システム導入はプロジェクトが開始されても社長や経営層は関与し続けないと危ない」とアドバイスを申し上げているのです。なかなか伝わりにくいことなので、私も日々工夫を重ねてお伝えしていることですが、システム導入プロジェクトの立ち上げの際には、この点に是非気を付けて頂きたいものだと思います。

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