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IT化経営羅針盤181 マイナカードに見る「ソフトウェアの誤操作耐性」を考える 

2023.06.20

マイナンバーカードをめぐるニュースがいくつも連続で出てきて世の中を賑わせています。他人の保険証情報が紐づいていたとか、他人の銀行口座が登録されていた、など様々です。そんなニュースが出るたびに、「システムの不備」とか「ミス」といった表現での報道と「そんな完成度の低い状態で性急にカードの普及を急ぐべきではない」、「私はマイナンバーカードを返納する」などといったネガティブな話が蔓延し、なかなかすっきり収まりません。これらの報道や蔓延している噂を耳にするにつけ、多くの人が大きな誤解や考え違いをしているのではないかと思ってなりません。これは企業のシステムについてもよく起きるもので、この機会にお伝えしておくべきだと思い立ちました。

ソフトウェアは、理想的な操作を前提として設計されています。その基礎上で、ソフトウェアはユーザーの命令を処理し、企業でも重要な役割を果たしています。しかし、ソフトウェアが全く間違えないということはありません。なぜなら、ソフトウェアの正確な動作は、ユーザーの正しい操作に依存しているからです。

人間の間違いのバリエーションは実に様々なので、最初から全ての誤操作を予測して防止することは不可能です。しかし、それを理解せずに、多くの人々は誤操作によるソフトウェアの誤動作をソフトウェア自体の不具合と見なしてしまう、という傾向にあります。

ここで考えなければならないのは、以下の3つの重要な前提です。

・「ソフトの利用者は間違えることがあるもの」であることが当たり前である。

・ソフトウェアは想定していない誤操作には耐えられない。

・人間の間違いの種類は数えきれないので、それによるソフトウェアの誤動作を防止するためには、徐々に仕様を変更していかなければならない。

人間の間違いは防げません。その多様性と予測不可能性が、ユーザーがソフトウェアをどのように使うか、また、それがどのように反応するかを左右します。こうした誤操作に対するソフトウェアの耐性を高めるためには、一つ一つの間違いから学び、その都度ソフトウェアを改良し、アップデートしていくことが必要となります。それも徐々に・確実に...

つまり、ソフトウェアの誤動作防止を追求する上で大切なのは、完全な無間違いを目指すことではなく、気が付いたことを都度迅速にソフトウェアの改良に活かし、その結果として誤操作による誤動作を減らすことができるのです。

こうした考え方をもっと広く理解し、受け入れることが大切です。それがソフトウェアの可能性を最大限に引き出し、確実なものに仕上げてゆく道につながるのです。

マイナンバーカードをめぐる一連の騒動は、このようなソフトウェアの特性を理解しない人たちによって誇張され、騒ぎ立てられているものであると思います。逆戻りすることなく、立ち止まることもなく、常に改善をし続けているかどうかを国民としては見守る必要があると思いますし、企業のソフトウェアもそのようなものであることを再認識するべきだと考えています。

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