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コラム / IT化経営羅針盤
IT化経営羅針盤14「思った通りのシステムを導入できない」ワケ
2019.06.14
この話は本当に多くの経営者さんから良く聞くことです。
苦労して導入したシステムが当初からうまく動かず、だましだまし何年か使ってきたものの、現場から「もう限界!」と言われてしまう、みたいな話です。
それらの話に一貫して共通している導入経緯があります。
話をだいたい平均化すると、以下のようにまとめられます。
・ビジネスも波風は大きいが、これ以上の規模にしようとすると生産性が問題になることが見えてきたのでIT導入を考えることとした。
・でも、「うちの会社の規模と業態でどのようなシステムを入れれば良いのか解らない」状態だった。
・そこで、ネットで少し調べたり、公的団体の相談窓口経由でITベンダーに声をかけたら、すぐに紹介に来てくれた。
・説明を受けて、自社の課題を解決できると思ったので見積をしてもらい、費用をなんどか工面した。
・すぐに導入できると思っていたら、「色々設定(いわゆる要件定義)をする為のヒアリングが必要だ」と言われ、担当者が何回も会議に出ることとなった。
・その結果、システムの導入作業が終わり、いよいよ使い始めることとなったが、システムの操作方法と自社の仕事の内容が全く合わない。
・でも、「設定作業」をした際に全部担当者に確認・承認された仕様だから、合わない部分は無いはずだ、と言われ、業務とのギャップをほとんど埋めてもらうことができずに納品になってしまった。
・その後、色々不便な点が残る状況の中で、「システムが使えない部分は人間が補う」というポリシーで何年か流してきたが、残業は多いしヒトも減らない。
・何年か経てば少しずつ効果が出てくるかと思って我慢してきたが、どうやらその目途は外れていたらしいと気がついた。
いかがでしょうか?この経緯のどこに問題があったのか?それは・・・
自社の課題を解決できると思った
の部分です。
どのケースも同じなのですが、ここで言う「自社の課題」とはどのようなものだったのか、どなたに聞いても曖昧な答えが返ってくるばかりで、具体的に答えてくれることはありません。
強いて言えば、「課題」と言っているものが実は「慢性的な人不足をなんとかしたい」とか、「作業効率が悪いと思う」といった抽象的な表現に留まっており、さらに直接対策を実行することができない「問題レベル」に留まっているのです。
その状態で「これを解決したい」とITベンダーさんに提案を求めれば、当然「うちのシステムを導入すれば、こんなこともあんなこともできます。えぇ、業務もずいぶん自動化されますよ。XX社さんやYY社さんでもこんな効果が上がりましたから、御社にぴったりですよ。」という営業トークになることは当然です。
しかも、それらの話がすごく良く見えてしまう、または、導入した他社をうらやましくなってしまう、ことが起きるのがヒトの人情というものですね。
では、こうならないようにするにはどうすれば良かったのでしょうか?
それは、
経営課題と現場課題を抽出し
それらを分類・統合した上で
優先順位を「絶対対策要・できれば対策」などに分ける
そして、それをシステムを導入することでどのように解決できるのか、具体的な提案を受ける
ことが肝要なのです。
こう書けば当たり前のことに見えるかもしれませんが、やってみると実に難しく、たいていの場合は時間と工数がかかる割にきちんとまとめることができないものです。
もちろん、この部分はITベンダーさんに頼ることはほぼ不可能で、社内でやるべきプロジェクト活動となります。
IT化にしろRPA導入にしろ、これらができて始めて成功の可能性が出てくるので、これをすっとばして何かを導入すれば今回のお話の様な結末になることは必然です。
経営課題や現場課題をきちんと具体的にまとめ続けることができる活動体制の構築と維持、これがIT導入の基本的なコツだ、ということをご理解頂ければ幸いです。
頑張って導入したけどムダだった、と後悔するIT化はなんとしても避けたいですね。
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