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コラム / IT化経営羅針盤
IT化経営羅針盤11 業務プロセス可視化のポイント「システムフロー図は業務フロー図としては使えない?」
2019.05.24
「鈴木さん、業務システム開発を委託している会社さんから業務フローをもらいました。これを確認するように依頼されたのですが、これどうやって読みこなせばいいのか教えてもらえませんか?」
ある、機械製造会社の経営者さまからのご相談がありました。早速そのフロー図を印刷して机に広げてみたところ、確かに直感的にはわかりにくいシンボルとか用語が並んでいます。更にその社長さんに図の中で書かれている処理「製造実績登録」とはどういう意味か解るか質問したところ、「えーっと、製造日報のことでしょうかねぇ。当社で使っている単語だとそれしかないし、正直なところ良く解りません」というお返事でした。
そこで、「もっと他に資料をもらっていませんか?」と聞いてみると、今度は更に難解な「データフロー図」が出てきました。
ここまで拝見して言えることはただ一つです。
「社長、これはシステム設計やソフト開発の為の資料なので、これで御社の業務プロセスが可視化されたと判断するのは間違いですよ」と。
これは実際良く目にすることですし、システム開発を受託した企業さんの立場からするとしごく自然に発生することなのですが、システム開発のプロジェクト管理者(PMと呼びます)は、
お客様の業務や課題を聞いて、それをシステムで解決することが究極のミッション。従って、お客様と話しをしてわかったことを部下である開発チームのメンバーにきちんと理解させるために、エンジニアが理解できる手法を使いがち。
なのです。そもそも、ユーザーである発注者側の視点に立って作られた図ではないのに、それを使って発注者に説明、承認を得ようとするワケです。
さらにやっかいなのが、これらの図の書き方は、PMの力量とか考え方、もしくはその会社の業務標準によって大きく異なるということも問題です。
こういった場合、当社からはそのPMに「これで発注者にどうして欲しいのか?」質問するようにしているのですが、だいたいの場合「これをベースにして、お客様にシステム導入後の新しい業務プロセスを決めて頂きたい」と答えられます。
正直なところ、これは1,000パーセント無理な話です。
そもそも、、、
図で使っている用語の定義が違う
図の中のシンボルの意味がわからない
データフロー図を見せられても難解で全く理解できない
こんな状態で示された図に対し、良いとか悪いとか言えるわけが無いのです。
私は従来、口をすっぱくして主張しているのですが、「業務プロセスはIT導入者側が自分達の解りやすいように平易な表現で可視化しないといけない。IT業者にはその読み方を説明し理解してもらい、理解したかどうかを彼らからきちんと示してもらって齟齬の無い様にしてゆくことがポイントである」と申し上げてきました。
ITの発注者側が何も用意せず、口頭だけで自分達の課題や業務の流れを長々と説明して100%理解してもらうのは無理です。
発注者側は予算を用意するだけではなく、
どこがどうなっていて、どうしたいのか
をきちんと説明する義務があるのです。
これを飛ばしてIT業者さんに声をかけると、両社に悲劇が発生する可能性大です。
導入者・発注者の会社さんには、うまくIT業者さんとコミュニケーションできる準備を実施して頂きたいものです。
しっかりした業務プロセスと課題の可視化で、成長するIT化、業務自動化を達成していただくことを願ってやみません。
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